THORNY PATH


Odai

ショコラ



とろける脳髄

2009 St.Valentinday




「ジェスロさん」
 少し遠くにある姿ににっこりと笑みを浮かべ、駆け寄る。
「お久しぶりです」
「そうだな」
 ギブスも笑うとシンの頭を撫でる。
 それに嬉しそうな笑みを零すが、彼の腕にある花束に目を瞬かせる。
「今からデートですか?」
「どうしてだ?」
「だって花束を持ってますから」
 華やかなそれは、ギブスは滅多に持たないものだが様になっている。
「いや、そんな約束はないな」
「そう、なんですか?」
 戸惑う瞳を見つめ笑うと、手にしている花束をシンに向かって差し出す。
「『エンジェル』へプレゼントだ」
「私に、ですか?」
 驚きと戸惑いの顔をするが、ギブスが冗談でも嘘でもないことを感じ取ると嬉しそうに笑う。
「――ありがとうございます」
「食べ物がいいか迷ったがな」
「ジェスロさんから貰ったものは何でも嬉しいです」
 零れる笑顔とその言葉は幼いながらも強烈な衝撃を自分に与えてくれる。
 ギブスは笑みを零すと腕を伸ばしてシンの体を抱き上げる。
 途端シンの頬が赤く染まる。
「ジェスロさん!?」
「今日は一緒に過ごすことはあいつにも言ってある」
 嫌か?
 笑顔と共に問いかけるとすぐさま首を横に振る。
「わざわざ時間を作ってくれて…嬉しいです」
 愛くるしい笑顔を浮かべ答えると、そっと首に腕を回してくる。
 些細だがそんな甘えを見せてくれる幼子に目を細め、笑みを深める。
 こんな思いは……最愛の者達と過ごす以来だ。
「愛しい『エンジェル』と過ごすためなら何だってやるさ」
「…そういうことにしておきます」
 幼馴染と友人が今日という日を過ごすために取り持ったことを見抜いている聡い子供の言葉に楽しげに声を漏らすと、そっと米神に口付けを送った。