THORNY PATH


Odai

女帝の密約



愛によって実ったものは?

Unforgettable love. (〜1980年代)




 ふわりと笑う姿。
 その笑みが好きだ。
 その吸い込まれそうな目が好きだ。
 その心地よい声も柔らかな雰囲気も……何もかも全て。
「好きだ」
 手を伸ばして彼女の手を掴み勇気を出して響く声。
 それに彼女は大きな目で見つめてくる。
 行き当たりばったりの子供のような未熟さが目立つ己に後悔と腹立たしさが混じる。
「――私も…好きよ」
 そしてふわりと笑顔が広がったかと思うと…柔らかな声が響いた。



 鐘の音が静寂に響く。
 教会の祭壇にある棺に、黒が次々と白い花を捧げる。
 その黒の一人になった青年は棺の前に立つと、中を見下ろす。
 白い花に埋もれたその姿は、皮肉なことに美しく見える。
 そう感じてしまうことが嫌で強く唇を噛む。
 ――別れたくない。
 例え前から解っていたことだとしても。
 それなりに覚悟していたことだとしても。
 容赦ない事実に脆くも自分と言うものが崩れ去る。
「愛してる」
 花に愛の言葉と口付けを込めて、彼は最後の贈り物をそこに置いた。









...? years afuter



 長き戦友に紹介された人物はまだ幼い子供だった。
 黒い髪に黒い目をした彼は東洋の人間とは思えない全てを払拭させる美を持っている。
 戦友に紹介された子供は真っ直ぐにこちらを見つめ、

 ふわり

「始めまして」
 子供が浮かべるには柔らかすぎる笑み。
 それに……忘れようとしても忘れられない記憶が強烈に思い起こされる。
 外見上に一致する所なんてない。
 だけど…何故だろう。
 その大きく吸い込まれそうな目をしているからか。
 それとも年齢に似合わぬ雰囲気を持っているからか。
 その美しく輝かしい笑みを浮かべているからか。
 ――ありありと思い起こすほど彼は似ているのだ。


 彼が何を意味するかなんて解らない。
 だが、彼の手は優しくて。
 彼の温もりは心地よくて。
 まるで……なんて考えるのは愚かなきわみだろうか。







実りは果て無き歳月の後に。