THORNY PATH


Odai

魂の審判



罪か徳か

He is still by the side. (200...?)




 カフェでランチを一人で食べていると、いきなり向かいの席に人の影。
 一声かけることもしないのかと睨み付けるために顔を上げ――
「Hi」
 爽やかな笑みに固まる。
 ベチャリという音に慌てて視線を下ろすと、手に持っていたサンドイッチから皿へと具を零している。
 手に取ろうと伸ばすがその前に別の手が伸びて掻っ攫われる。
「…おい」
 思わず睨み付けると具を放り込み指を舐める赤い舌が見える。
「……普通のも食べれるんだな」
 だが文句を言う前に拍子抜けしてしまい質問を零すと薄いピンクの目が瞬き、笑みが零れる。
「あまり好きじゃないけどね」
 でも食べれるよと笑う。
 それにさらに眼光を鋭くにらみつけ、
「…言っとくけど何もやらねぇからな」
「いいよ。その代わりデートしようよ。ダニー」
 さらりと揺れる金色の奥で薄い瞳の色が魅惑的な輝きを向ける。
 だがダニーはそれに呆れた顔を見せる。
「お前の本命はシンだろ」
「どっちも本命だよ。捕まえて閉じ込めて大事に愛して食したいと思ってるよ」
「帰る」
 洒落に無らない愛情表現に勢いよく立ち上がるとさっさと席を離れる。
 だがどんなに自分の足を急かしても後ろから付いてくる足音にやがて痺れを切らす。
「…お前いい加減に」
 しろ、と告げる前に間近で揺れる金髪。
(は?)
 思わず混乱している間にリップ音と共に整った顔立ちがはっきりと現れる。
「おまっ!?」
「これくらいの味見はいいでしょ」
 ぺろりと己の唇を舐められ、ダニーは深い溜め息を零す。
(てか可笑しいだろ。オレ)
 法を護り取り締まる側のものとして目の前の存在を見つけたら逮捕するために動くのが普通だ。
 だが、さっきのカフェで談笑だけでなくキスまでされている。
「……絆されたわけじゃないのに」
「ダニーは知ってるからでしょ」
 葛藤を見抜いたかのような言葉に顔を上げると愉しげな目とかち合う。
「愛しい野バラが健在のうちは浚われることも傷つけることが無いことも。そしてそれを律儀に私が護る人間ってことも」
 形良い指がすっと頬を撫でる。
「ダニーは境界をよく知ってるから心地よくて、つい手を伸ばしちゃうんだよね」
「…伸ばすな」
「い、や」
 くすくすと笑いながら断るが、突然視線が動き、
「そろそろ時間じゃない?」
 問いかけるような声に己の腕時計を見ると、仕事場へ行く時間であることを知らせている。
 色々知るようになってから目の前の男は割りと頻繁にちょっかいをかけるようになったが、決してダニーの仕事や用事の迷惑になるような真似はしない。
「……律儀だな」
 時に犯罪者とは思えないくらいだと思ってしまうほどに。
 思わず呟くと彼はその目に柔らかい光を宿し、
「愛するダニーのためだからね」
 愛しげに囁いた。







本当なら解り切っている

だが、狭間での審判は未だに未決