Odai太陽の誕生日影は何処に落ちた?A blessing of the darkness. (19**年代)
『それ』は嗤う。 「何とも…何とも愉快だ!」 血と千切れた体。 その異様な光景の中で…無邪気に笑う男。 年齢は…自分より幾つか上。 このような場面で出会わなければ、美に関心がない自分でも驚くほどの造形をしている。 「こんな愉快なことは最高の『獲物』以来だ」 男はこちらに一歩踏み出す。 「動くな」 銃を構えなおし警告を発する。 だが男は面白そうに嗤うだけ。 「それではダメだ」 「ああ…知ってるさ」 今までの事件を『見た』自分は、その驚異的な身体能力をよく知っている。 それに男は無邪気に目を輝かせる。 「流石だ」 びちゃ、り 頬に生暖かい感触。 「っ!?」 驚いて首を向けると…先ほどまで前方にいたはずの男が間近にある。 慌てて体を引きながら銃口を向ける。 だが、 「あっ!」 腕と背中に感じる痛み。 何とか銃を取りこぼさないようにはしたが、壁に追いやられ身動きが取れない。 「…ぐっ」 「ああ。これでゆっくりと話せる」 男は軽々と抵抗を捻じ伏せると懐からサイフを抜き取って身元を探る。 「…これはこれは…有名人に会えるとは思えなかったな」 「お前にくらべたら些細な知名度だ」 「血筋で有名な私と君とでは質が違うよ」 男は楽しげに喉を震わす。 「…だけど…まさかこんなに素敵な人だとは思わなかったよ。――おや?」 身元証明を見つめていた男はある部分に目を留める。 「一分前から誕生日とは……ふふ…嬉しいな」 「………何を…」 何が言いたいのか解らないがそれでも探ろうと口を開くと、唇に柔らかい感触。 舌を絡め取られ、口内を探られる。 意表を突かれ混乱しながらもその舌に歯を立てると感触は離れていく。 「…痛いな」 「な、にを…」 「その表情もいいな」 男は飄々と言ってのけると楽しそうに唇を舐める。 それはこんな時だというのに艶がある。 「私の奥深くまで『見る』ことがのは君が始めてだ」 「…だから嫌がらせをするのか」 「嫌がらせ?」 まさかと男は否定をするとそっと手の甲に口付けを贈り、 「Happy Birthday. And I love you.」 祝いと愛の言葉を囁いた。 今、目の前に。 |