THORNY PATH


Odai

月の容



この世に変わらないものがある?

Splendor without the change. (2000〜)




 まるで一枚の絵のようだ。
 陽の下で輝く金色の髪と整った精悍な容姿に非現実的な映像に見えてしまう。
 金髪が揺らめき、桜色の目がこちらを見る。
「何か」
 色香を感じさせるテノールが響く。
 何もかも完璧――まさにそんな言葉が浮かぶような人間だ。
(だが、完璧など有り得ない)
 心の中でそんなことを思いながら一歩踏み出す。
「ラスベガス市警のグリッソムです。邪魔をして申し訳ない」
「構いません」
 柔らかい光が目に宿ったかと思うと、カツンと響く足音。
「私も一度、気兼ねなくお会いしてみたかった」
 貴方に。
 にっこりと浮かぶ笑みと共に告げられた言葉に困惑が浮かぶ。
「…私を知ってるのか?」
「勿論」
 有名ですから。

 カツン

 意外と近くで響く足音に視線を向けると覗き込んでくる顔。
「…何か?」
「やっぱり…似ていると思いまして」
「…似てる?」
「ええ。こうやって向かい合っていても常に揺らがずに真実を求め……冷酷とも言えるほどに観察し見据えている」
 仕事が日常にまで入り込んだのか。
 元来がそういう性分であったため合う仕事へ就いたのか。
 どんなことがあっても、常に変わらずに自分を押し隠し排除し観察し続ける。
 その目を、よく知ってる。
 だが一方は繕うことが上手でそれを悟らせずに人付き合いを行うが、この人はそれを、自分を隠しもしないから人付き合いに関してはとことん不器用だ。
「どちらも放っとけなくて愛しい」
 クスクスと愉しげに笑う青年の言葉にグリッソムは真意が掴めず目を細める。
 双方の視線が絡み、無言で目を合わせる二人。
 だが、二人の視線は遠くからグリッソムを呼ぶ声に離れていくことになる。
「残念ながらタイムリミットですね」
 柔らかな声が聞こえ、綺麗な指が頬に触れてくる。
「貴方はそのままでいてくださいね」
「君は…」
 問おうとした声は、唇に感じる柔らかな感触とリップ音に遮られる。
「…………」
「エディ、と呼んでください。ドクター」
 貴方にはそう呼んで欲しい。
 彼は綺麗な笑みを浮かべて告げると、踵を返して去っていく。
 それにグリッソムは突然のキスに固まったまま見送ることしか出来なかった。







稀有な存在

それこそが