MainLa Traviata
愉しい話と苦手意識。 (2004 or 2005?) それから全員がドリンクとジャンクフードを手に談話し始める。 ラスベガスで起こった事件。 NYで起こった事件。 その地域ならではの特色ある事件に驚いたり笑ったりしながら話を進める。 だが特にラスベガスの面々は自分達の主任の弟に興味があった。 シンもそれを心得ているらしく自分のことを話しながらNYの話も振ったりしていた。 「…私はマイアミ・デイド署で三年間だけ心理分析官を勤め、一年だけCSIにいました」 「マイアミ・デイド署というと…ケイン警部補ね」 「残念ながら彼は私が努めた後にやってきたので会ったことは未だ無いんですが」 だけどとても優秀な人物だと聞いているとシンは告げる。 「でも四年しか勤めていないのに…熱中的なファンがいるくらい有名になったんだ」 「有名って…私はただ…こういう見方もあるのだと知っていて欲しかっただけです」 有名になるつもりはなかったし、逆に有名になれば色々やりにくいのだ。 だが本人がどう思っているのであれ、シンの論文が称えられ熱烈なファンがいるのも事実なのだ。 「でもどうして辞めたりしたの?」 人から警戒心を解き、また少し話しただけで科学の知識も豊富だ。 人間関係も能力も困ることは無いだろうに…… サラの問いかけにシンは笑うと、 「私はグリッソム家に養子として入ったんですが…その前は後見人に連れられて放浪していました。それで…やっぱり少し性にあわなかったみたいなんです」 「そうなの…」 「はい。――義兄さんとは子供の頃から知り合いだで会うたびに色んなことを教えていただきました」 その目に浮かぶ零れそうなくらいに溢れる感謝の意。 その輝く美しい笑顔に誰もが見惚れてしまう。 「…シ、シンにとって主任は尊敬する人なんだな」 「――はい」 ふふふっと嬉しそうな笑みに全員が手を伸ばして頭を撫でそうになる。 この年齢でここまで愛でたいと思わせる人物は滅多にいないだろう。 (本当に存在自体が罪だよなぁ) 免疫が他よりもあるダニーは心の中で呟きながら、みんなを代表して頭を撫でる。 するとシンは大きな目を瞬かせ――どう反応していいか解らずに困ったように笑った。 「随分と騒がしいな」 昼番の主任であるエクリーの言葉に遭遇した殺人課のブラスが何でも無さそうに返答する。 「確か今日学会に出場する人達を招いたらしい」 「…なるほど」 どういう人間だろうとエクリーはその部屋を覗き… 「っ」 急に息を呑んで下がる。 「どうした?」 ブラスが尋ねるとぎこちない動作でエクリーは顔を真っ青にして首を横に振る。 「……用件を思い出したので失礼する」 「お、おい!?」 ぎこちない仕草で踵を返す。 いつにない彼の動作に困惑しながらブラスは顔を騒がしい一室へと向ける。 そこには顔なじみのある面々と――見慣れない二人。 恐らく彼らが客なのだろう。 だがそれでどうして…あのような反応をするのか。 ブラスは首を傾げながら扉を軽く叩いて開く。 「警部」 「NYから客人が来たと聞いたが…彼らかな?」 「もう一人は主任と会ってます」 その言葉に三人は互いに自己紹介する。 シンがグリッソムの弟だと聞いて驚きの顔をしたが笑って握手する。 「さっきエクリーに会ったんだが……何故か顔を青ざめて行ってしまった」 「エクリーが?」 彼はいつも癪に障る物言いをするが、青ざめるなど見たことが無い。 彼を知る面々は不思議そうな顔をするが、シンだけが笑うと、 「たぶん、私がいるからです」 困ったように言った。 |