MainLa Traviata
孤高の天才。参加者ご一行ラスベガス到着。 (2004 or 2005?) シン・グリッソム。 突然現れた心理分析の天才。 彼の手によって解決した事件は数知れず、犯罪心理学だけでなくカウンセンリングなど心理方面に関して幅広く活躍し、書いたその論文は心理学に携わる者達に限らず影響を与えている。 「はー、すごい」 インターネットによって調べた情報にグレッグが素直に感嘆をあげる。 「ニックもウォリックも知ってた?」 「そりゃ有名だからな」 「そうそう。『孤高の天才』ってね」 「『孤高の天才』?」 グレッグは首を傾げるとニックは笑って答えを返す。 「論文を書くけど講義や学会には滅多に出ないっていうことでも有名なんだ。それでその人嫌いだろうっていう性格から『孤高の天才』って言われてる」 「じゃあ二人とも会ったことはない?」 グレッグの問いに二人は即座に肯定する。 「キャサリンは?」 この中で一番グリッソムと付き合いが長いだろうキャサリンに問うと彼女は首を横に振る。 「大分歳が離れているっていうのは聞いたことがあるけど、ね」 だが弟を話すとき、グリッソムの表情は今まで一度も見たことが無いくらいに柔らかかったのはとても強烈に覚えている。 またそれで興味があって論文を読んだこともあった。 「一度彼の論文を読んでみるといいわよ」 「参考になる?」 「ええ。その着眼点も内容もとてもね」 キャサリンの言葉に視線をめぐらすと、若い男女三人が頷いている。 「じゃあ、ロゼから聞いてみよ」 「ロゼって…心理分析官の?」 ラスベガス市警にいる心理分析官の若い女性の姿を頭に描く。 「そ。ロゼだったらボク向けの本を貸してくれそーじゃない」 「と言いつつ、彼女を口説くのが目的なんじゃないの?」 「あ、バレた」 サラの鋭い指摘にグレッグがおどけた言葉を返す。 そんな彼らしい答えに周りは呆れが入り混じった笑みを零した。 マッカラン国際空港。 「ぅあ〜〜」 無事にラスベガスに辿りついたダニーは大きな伸びを一つする。 「ようやく辿りつきましたね」 「カジノで遊ぶんじゃないぞ」 ラスベガスらしくスロットが幾つか置いてある光景にマックが忠告するとダニーの唇が少し尖る。 「来て早々しませんよ」 「…あのー」 師弟の会話に恐る恐るかかる声。 二人が向くと、キャップ帽を被ったシン。 少々サイズがあわないらしく忙しなく調整している。 「どうした?」 「何でこれを被るの?」 シンの困った問いかけにダニーは呆れた表情を見せる。 「防犯に決まってるだろ」 「…何で?」 心底不思議そうな問いかけにダニーはとうとう溜め息を吐いてしまい、マックも少し困惑の色を見せる。 「…飛行機で散々ナンパされたの忘れたのかよ」 シンの美貌と柔らかい笑顔に男女問わず話しかけられ、お茶や酒に誘われていたのを一体何回阻止したことかとダニーの強い目線にシンは困ったような表情をする。 「ナンパって…」 「ナンパだろ。こうすれば少しくらい目立たないんだから大人しく被ってろ」 目立たないっていうのは無理だと思うけどな。 何せ顔の整った男が二人眼前にいるのだから…注目を浴びるのは必至だ。 だが二人の手前、あえてそうは言わずに大人しく受け入れながら視線をさ迷わせる。 が、ある所でその目が留まり、広がる笑顔。 「義兄さんだ」 シンの嬉しそうな声にダニーも釣られるように視線を向ける。 「どこだよ」 「あそこ」 シンが指し示す先にはこちらをしきりに気にしている何度も写真で見たことのある姿。 彼の視線がそちらを見て笑う。 「お、気づいた」 「私じゃなくプロフェッサーがいたからだと思うよ」 今の私は帽子で顔がよく見えないだろうし。 シンの言葉に有名な人達だから面識が無くても顔や姿は知っているだろうとダニーは納得する。 「マックのこと告げたんだ」 「お互いに会ったことが無いからいい機会かなって」 互いに会わせてあげたかったとシンは笑ってそう言った。 |