THORNY PATH


Main

La Traviata

興味を満たすために乗る者。裏をかかれ乗らざるをえない者。
(2004 or 2005?)




 全米中の著名な科学捜査官が集まる学会。
 それに参加して欲しいという依頼状が手元にある。
 いつもなら精神的なものと仕事の都合もあり参加への断りを返す。
 だが、
「……」
 学会の開催地を見てペンを取ろうとした手が止まる。
 そして久しぶりに行きたいという欲求が生じる。
 だがそれでも躊躇していたのだが、依頼状とは別に入っていた書状を読んで気持ちが一方へと傾く。
 その書状は知らぬ者から学会についての私情を挟んだものだ。
 だがその中身は自分の好奇心を刺激する。
 そして自分の行動一つで書状の贈り主の願いも自分の好奇心も満たされるのだ。
 それはどのくらいの時間か考えた末――笑ってペンを取ると返事を書いた。




「学会に参加する?」
 マックから発せられる言葉にステラは目を瞬かせる。
 そして心のままに、
「珍しいわね」
 意外だと告げる。
 招待を受けるのが、ではない。
 彼は優秀な犯罪捜査間にして名の知れた犯罪学者であることから過去に数多の学会と講義の勧誘を受けている。
 だが彼は色々あって仕事に没頭しそういう依頼は断っていたのだ。
 彼女の問いかけに苦笑を浮かべると依頼状を見せる。
 そこに書かれている内容を目で追い、彼女は納得の声をあげる。
 その地はこの世界であれば必ず一度は聞いたことのある人物がいる。
 知識や探求に貪欲なマックがそれに惹かれるのは納得できることだ。
「会ったことはないの?」
「名前も知っているし時に連絡を取り合うこともあるが、実際に会ったことはないな」
 問いにマックは否定すると机の上に置かれている一枚の紙を手に取る。
「それと、これだ」
 差し出される紙を受け取り読み…目を見開く。
「…確かにこれは…」
「面白そうだろう?」
「ええ」
 マックの問いにステラは楽しげに唇を吊り上げて頷くと、再び文面に目をやった。



『シン・グリッソムがプロフェッサー・テイラーと共に出席することを望まれました。是非ともご参加をお願いしたい』



「で、出席になったんだ」
「……そういうこと」
 シンの誘いによりランチを共にしたダニーは概要を聞いて呆れた声を出す。
 前から頻繁に学会や講義に参加して欲しいと言われ続けていたが目立つことが嫌いなので滅多に参加してこなかったシンは今回の全米の科学捜査学会でどうしてもと言われてしまい困った末、マックが出席するならと条件を出したのだ。
「何でそんなこと…」
「彼は参加しないって思ってたんだ」
 心に傷を負った彼は仕事に没頭して気を紛らせているからこういう舞台には出てこないと思ったのだ。
「これで出ざるをえなくなった」
「何がそんなに嫌なんだよ」
 ダニーの問いかけにシンはその理由を口にする。
 それに益々呆れた声を上げる。
「ま、大人しく出席しろ」
 ダニーの言葉にシンは拗ねたような表情をし……何故か綺麗な笑みを浮かべる。
 それに非情に嫌な予感を覚える。
「……何だよ」
「鳴かぬなら鳴かせてみようホトトギス」
「…は?」
 意味不明なシンの言葉にダニーはぱちくりと目を瞬かせた。







 そして後日、マックとシン。
 そしてシンの『お願い』により同行することになったダニーは飛行場にいた。
 全米の有数な科学捜査官が集まる学会が開かれる地――ラスベガスへ。