Main神風レディバード
マイアミS3の一話目。スピが生きてるなら。 (2004) 銃を構え引き金を引く。 だが、何度引いても軽い音が響くだけ。 スピードルは思わず自分の銃を確かめてしまうその一瞬、 バン!! キィィン! 銃声に続いて甲高い音が嫌に店内に響き、その音に鳴った方向へみんなの視線が集まる。 スピードルの前。 まるで彼を護るように佇む第三者の姿がいつのまにか存在していた。 小柄な背丈をし帽子を目深に被った姿。 そしてその右手に、紅の光を帯びる長い刃がある。 「……下がって」 ぽつりと呟かれる言葉にスピードルは目を見開きそれを凝視するが、素直に数歩下がる。 「な、んだお前は!」 銃撃戦に割り込み落ち着いたその存在に、男の一人が銃の引き金を引く。 だが、再び鳴る甲高い音がし、弾はかなり明後日の壁にめり込む。 それに驚いて気をとられるその一瞬、鳩尾に衝撃を受け男の意識は落ちる。 銃をものともしない未知の存在に残りの男たちが畏怖に満ちた目を向ける。 それに、嗤う。 「刑事さんが銃で狙っているのにいいのですか?」 その言葉に男達の意識が逸れる。 その隙をついて普通では追えない速さで移動したそれが彼らの背後に現れた途端、他の男達も床に伏した。 紅の刃が鞘に収まり、一見したら杖にしか見えないそれの先端が床を小突く。 突然現れ、銃を使わずに気絶させた存在にホレイショは銃口は下げたものの警戒を見せる。 だがそれに気づいているのかいないのか……帽子を取りながら踵を返す。 さらりと黒髪が揺れ、それが人に現れるとは思えない美が露になる。 銃撃戦でめちゃくちゃになった場所だと言うのに、そこにいるだけで何かの舞台だと思わせてしまう。 誰もがそれに見惚れている中、声をかけるものが一人。 「シン!」 「ティム、怪我は?」 壁際に立っていたスピードルの声にシンと呼ばれた若者は柔らかな光を目に宿す。 「オレはしてない。お前は?」 「私も平気だよ」 そう言って、彼は笑った。 その後、応援の手もあって現場は騒然となりつつも収集していく。 そして銃撃戦の中に忽然と現れた者も自己紹介してくれた。 「シンと言います。マイアミ・デイド署で四年お世話になった後、今はNYで探偵をしています」 そして調査でこの宝石店にたどり着き話を聞こうとした所で出くわしたのだという。 「すごっ」 「…美人ねぇ」 男とも女とも付かない芸術性の美を極めたような姿にやって来たデルコもカリーも感嘆の声を上げる。 「男の人ですか?」 「…ああ」 まったくもってそうは見えないがホレイショはきちんと身分証できちんと確かめたのだ。 「マイアミには四年いたそうだ。カリーと同い年だ」 「……見えないわ」 東洋系ということもあってか、落ち着いた物腰でありながらも幼く見える。 「スピードル、知り合いなんでしょ」 一足先に証拠集めをしていたスピードルは彼女の問いかけに顔を上げずに答える。 「オレの一年先輩」 「は?」 デルコが首をかしげると、スピードルは「あいつは20歳で大学卒業している」のだと答える。 「頭いいのね」 「本人はそんなことは無いって言うけどな」 見た目と性格に反して複雑な生い立ちがあるし、結構過激だし、そして……さり気なく秘密主義だ。 自分だって何も喋らないと言ってしまえばそれまでだし普通だったら立ち入ろうとはしない。 だが……シンだと違う。 まるで高校の頃に亡くした友人のように大切さを感じる。 「シン」 証拠も採取し店から出るとある姿に声をかけると振り向く。 「とんだ再会劇だね」 「全くな」 スピードルの溜め息にシンは励ますように肩を叩く。 そして彼の傍にいるデルコとカリーの視線に気づいて笑いかける。 「こんにちは」 「こんにちは。私はCSIのカリー・デュケーン。そして…」 「エリック・デルコ。始めまして」 「私はシンと言います。こちらこそ始めまして」 そして今回初めて知り合った三人は互いに笑って名乗り、握手を交わした。 (Title:SBY) |