Main天使の残した波紋
CSI加入決定した日に激励と守護を込めて (2003) 「CSI移動おめでとう」 「サンキュー」 移動が正式に決定した夜。 シンが作ったお祝いの料理に喜ぶが、自分の定位置に置かれている箱に訝る。 「…これは?」 「お祝いにはプレゼントでしょ?」 にっこり笑って開けて欲しいと言われ、ダニーは数回目を瞬かせた後、その箱を開ける。 そこには電灯によって光る腕時計があり、見るからに良い代物だ。 「……高くないのか? これ」 「全然」 あっさりとシンは否定する。 「身につけるものを上げたかったんだ。…まさか、CSIにアクセサリーを付けていく訳にはいかないだろ?」 「当然」 折角引き抜いてくれたマックに初日から呆れさせたくはない。 ダニーが当たり前のように頷くと、良かったとシンは笑う。 「…きっとこれからも貴方は大変だ。その考えゆえに受け入れにくいけど頑張って欲しいから……だから激励も込めて」 「…本当に、いいのか?」 伺うように目を上げると、頷く。 「サンキュー。早速明日から使うよ」 「うん」 ダニーの言葉に嬉しそうな笑みが広がる。 シンは立ち上がるとワインのコルクを手際よく抜いてグラスに注ぐ。 「それでは、お祝いしましょうか」 「そうだな」 今までのやり取りを黙ってみていたファルシンも笑みを浮かべてグラスを手に取る。 そしてダニーもシンも手に取ると、三つのグラスが小突きあい、チン、と澄んだ音を鳴らした。 「シン」 「何ですか?」 あれからワイン以外の酒も開けて寝てしまったダニーに毛布をかけた所、ファルシンからかかる声。 「…あの時計にどんな意味がある?」 「…ただのお祝いですよ」 シンは笑って答えるが、ファルシンの納得していない視線に目を細める。 「よく解りましたね」 「お前は形に残る贈り物は滅多にしないだろ」 「…よくお解かりで。勿論例外はありますよ」 「家族か」 「はい」 シンは性を貰ったグリッソム家を宝物のように大切にしていることは今までの付き合いからもよく解る。 「それで、どんな意味だ」 「……ダニーを護るものですよ」 シンはいつも悪くない足を支えるために使っている杖のようなものを水平にする。 「私は、最初にあった時に明かしました。そして貴方のことだから、この刀と共にある宿業をご存知のはずです」 「C.F.トリガーか」 あらゆる裏世界で囁かれる伝説『クリムゾン・ファング』。 それを信じるものもいれば、ただのお伽話だと思い馬鹿にするものもいる。 だがファルシンはD.C.で彼に会い、本物が居ると思い知った。 「…ダニーは知らないのか」 「知っているはずですよ。でも…気づかなかったということは信じてないのでしょう」 そうであれば、時計を見たとき解ったはずだ。 「…所長もいります?」 「必要ない。ただ…マークの剣…はいいとして、花は何なんだ?」 所有よりもそっちの方が気になる彼らしい態度に笑みを零す。 「野紺菊。花言葉は守護と言うんです」 「…なるほど」 ファルシンは納得し頷くとグラスに溜まっている液体を口に付けた。 ダニーは『クリムゾン・ファング』の話は知っています。 子供の頃から環境が環境だったので聞かされてはいたけど、伝説というより怖がらせるためのお伽話でしかないと思っているので、存在を信じてません。 なのでシンが『クリムゾン・ファング』であることは知らないし、自分が引き金になったことも全く認識してません。 腕時計も「こんなブランド名あるんだ」という感覚。 (Title:SBY) |