THORNY PATH


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Retoricume

ダニーとの出会い後に友人となるまで
(1999)




 その後警察署でシンは証言を。
 ダニーは聞いて書き取りながら、シンの年齢にビックリ。

「マジ?」
「あ、はい。…よく年下に間違えられるんですよね」

 たぶんダニーの方が年下だと思うんで。
 「これでオレより年上!?」とか思って、愕然としてしまいそう。
 で、雑談交じりに経歴とか聞いてさらに驚くんですが、一年前に辞めてしまったときいてしまう。

「何で辞めたんだよ。勿体無い」
「……私が異質だから…ですね」
「……そうか」

 ダニーは、もうそれで解ってしまう。
 自分もそれで他者の理解を得られずに常々悩んでいるので、シンの言った苦しみは理解できます。
 ここで生きていこうと決めたけど、周りが自分と絶対に違うことが怖い。

 二人はここで短いながらも近いことを認識。
 その後、流石にそのまま外に出すのは忍びなかったダニーは持っていたシャツをあげました。
 シンは断ろうともしたんですが、ダニーの説得に応じてシャツを替えて事務所へ。

 事務所でファルシンに迎え入れられ、空き部屋に住まうことに。
 事務所を整えて生活に必要なものも揃えて、身だしなみも整えると、新しくシャツを購入して外で休憩中のダニーの所へ。


***


「こんにちは、ダニーさん」
「…こんにちは…」
 声をかけられ、名前も呼ばれた。
 だが、見覚えが無い姿にダニーは戸惑う。
 流れる艶やかな黒髪に吸い込まれそうな黒目。
 整った中性的な美貌に低くも高くも無い声は男女どちらとも判断が付かない。
 だが、絶対的な美がある出で立ちに、周囲の男女問わずから熱い視線が注がれている。
「あー…悪い。どこかで会ったか?」
 こんな整った顔をした奴は忘れにくいので思わず問いかけると、彼は困ったように笑って、
「この前、路地裏でであったシンです。ほら、シャツを貸してくれた…」
 覚えていませんか?
 そう問いかけられ、どんな出来事かはすぐに解った。
 解ったが…
「……髪切ったんだな」
「はい。邪魔だったので」
 普通ここまで変わるか?って思うほど変わった。
 髪を切って身だしなみを整えるとここまで美人になるなんて誰があの時に想像できただろうか?
「今日はどんな用事だ?」
「シャツのお礼をしに来ました」
 すっと差し出される紙袋。
 思わずそれを受け取ると洗濯したシャツと新品のシャツがある。
「別に買わなくても良かったのに…」
「私がお礼したかっただけです。気になさらないでください」
 ふわりと浮かぶ笑みは人を魅了する。
 だが、ダニーはそれで騙されない。
 自分と彼は似た場所にいたのだ。
 例えその場所が浅くても深くても、容易く心を開いてはいけないことは心得ていた。
 シンもそれは承知しているので、「いらなければ捨てていいです」と告げる。
「シン」
「はい、何ですか? ダニーさん」
「敬語はいらない。…NYに住むのか?」
「…ここで探偵になるつもりなんだ」
「…探偵に?」
 そんな職につくなんて少し意外だったので問い返す。
「今勉強中なんだけどね。…警察に居るより、探偵の方が性にあいそうだから」
「…もっと…あっちに行くと思ってた」
 敬語が抜けたシンの言葉に、素直な意見を言う。
 すると、そっと零れる笑み。
「あっち側も行き過ぎると性にあわないらしいんだ」
「…そうか」
 だからその狭間で生きるのだと、シンの言葉にダニーは少し目を伏せて頷いた。
「ちょっとダニーにお願いがあるんだけど」
「…何だ?」
「これからNYで頑張っていこうとする私と…友達になってくれないかな?」
 困ったような照れたような…今までに無い感情をむき出しにした表情に驚いてしまう。
「…もしかして人付き合い悪い?」
「人付きあいが悪い…というよりそういう余裕がここ数年まで無かったというか…」
 その顔に、色々複雑な事情を抱えていることが解る。
「…オレで良ければ」
「一目で私が解った貴方がいい」
 消極的に答えると、思いもしない言葉が返って来る。
 これって…思いっきり口説き文句だよな。
 ダニーは少しだけ熱くなった自分の顔を誤魔化すためにも少しだけ視線を逸らしながら、
「シャツ…ありがとな。それと…これから宜しく」
「はい」




(Title:SBY)