Main窒息しちゃえばいい
メーガン辞職までの経緯と裏側 (2002) メーガンの復職にスピードルは喜びながらも身を案じます。 ヴィルとの熱愛を知っていただけに、無理をしているんじゃないかとやっぱり思ってしまうんですよね。 スピードルの知らせにシンもそれを危惧しており、何かあったら頻繁に連絡をくれるように頼みます。 するとやがて、彼女からシフトを減らすことを頼まれたことをホレイショから聞いたスピードルはシンに連絡。 *** 「メーガンが?」 「ああ、聞いていないか」 ホレイショから言われた言葉にスピードルは目を細める。 ――やっぱり、無理してたんだな。 復職した彼女は前と変わらない様子ではあった。 証拠を重視する彼女と証拠をきちんと検証しながらも勘を駆使するホレイショとの意見の対立を見て、半年前も妙に覚えがある姿に笑みを零したものだ。 だが、やはりどこか不安は拭えなかった。 最愛のひとを失い、たった半年で思い出のある場所で働いて、知らずに心が壊れてしまわないかと。 ――シンもそれを危惧していた。 「…いや……オレは聞いていないけど…」 「…そうか」 スピードルが応えると、ホレイショは頷く。 ホレイショは冷静に事件を解決しながらも仲間や弱者に対して情に厚い人なのでメーガンを心配しているのだと解る。 そしてまた、スピードルも。 だが自分は言葉を上手く伝えられないし、自分が行くことで彼女の心がさらに追い詰められてしまうのかもしれない。 ――シンに頼もう。 心は彼が専門だから、きっと彼女の心に少しでも安らぎを与えていけるだろう。 *** ということで、自分よりもシンの方が専門家ということもあって話すように頼みます。 *** 「メーガンさん」 揺れる黒髪に驚いて目を開く。 「シン」 「お久しぶりです」 シンの笑みにメーガンも笑って挨拶を返す。 すると彼は目を細めて彼女と目を合わせると、手を握る。 「同じ場所は……思い出しますよね」 「…シ…ン?」 メーガンが目を開く。 それにシンが安心させるように笑いかけると、彼女の目から流れる雫。頼まれたと聞いたて、頼まれました」 「…シン……どうして…」 「ティムがケイン警部補から貴方がシフトを減らすように 「私が…シフトを戻すように…?」 「……そう、思いますか?」 シンの悲しそうな笑みに、メーガンは首を横に振る。 「いいえ。…いいえ」 彼は無愛想で誤解されやすいけど、本当は繊細で優しい。 ただ警戒心が強く、心を許すまでの過程が長いだけなのだ。 「…――シン。私は…出来ると思ったわ」 あの人が死んでから休職した。 だけど一人ながら、家にいたなら、嫌でもあの人の姿を思い出し、いないことに悲しむ。 シンがカウンセリングをしてくれた時は少しは良かったけど、それでも終われば思い出す。 好きで、自分で選んだ仕事を熱心にやれば少しは自分の心が変わると思った。 だけど……ダメだ。 署内を歩いていた時、仕事をしている時、その時々であの人との記憶が浮かぶ。 「私は…弱い」 「弱い部分が無い人なんていません。私もティムも…誰だって弱い部分があります」 その弱い部分を突かれたとき、忘れないながらも前を向いて歩けるかどうか…その期間が長いか短いかそれだけだ。 「私…辞めるわ」 「…仕事だけでなく、一度…マイアミから離れたらどうですか?」 彼女を差しとめようとせずに、さらに誘う。 シンの見透かしたような柔らかい笑みに、メーガンは目を細めて少しぎこちなく笑う。 「いいわね」 「そこでメーガンさんに私からプレゼントを」 シンは笑うと、二枚の紙を差し出す。 一つは住所の書いた紙切れ。 そしてもう一つは地図。 「これは?」 「――知り合いが所有しているんですが長いこと管理されていない家があるんです。家は人がいないと荒れますから良ければメーガンさんが管理してくれませんか?」 向こうも適任がいなくて困っているのだと彼は言う。 「科学捜査とは違って科学なんて無い何もかも自分でやらないといけません。だけど……きっと今のメーガンさんはそういう忙しさが性にあっていると思いますよ」 「そう…ね」 シンの笑みにメーガンも笑みを零す。 「大丈夫。例えこの地から離れたとしても物を失ったとしても……ヴィルさんの思い出は色あせません。それだけは…誰も立ち入れない」 「それは…経験論?」 メーガンの問いかけにシンの笑みが一瞬引っ込み……儚げな笑みへと変わる。 「――ええ」 「……ありがとう、シン」 それだけで全てを悟ったメーガンは、そっと彼の体を抱き締めた。 *** そしてメーガンは辞職を提出。 シンはその前にスピードルに連絡しています。 で、シンはメーガンに少しでも前を向けるようになったらスピードルに手紙か電話をしてあげるように言い、スピードルには彼女からの連絡を気長に待っているように忠告しました。 彼女の所在はシンをのみが知っています。 (Title:SBY) |