Main海馬の聲
シンとアルコール。その伝説。 (1994〜) シンは天性の酒豪。 「ざる」を通り越して網すら引っかからないくらい強い「わく」です。 弟子の時は師の許しがあって、ほんの少しだけしか酒を飲まなかったので自分がどのくらいの力量か知りませんでした。 NYでも勉強と鍛錬で遊ぶことをしなかったので、知ったのはマイアミで。 マイアミで、シンは署からそれ程遠くないバーの常連になりました。 そこは気難しく頑固だけど腕がいいと有名なマスターがいて、気に入った人間にしか自分から相手にもせず作りもしないんですが、シンはそのマスターに笑顔を浮かべさせるほどに気に入られました。 二年目からはスピードルと共に来店。 マスターはシンの様子から信頼できると判断して、スピードルもまた気に入りました。 で、そのバーでスピードルと飲んでいたら飲み比べに参加するハメに。 結果、楽勝。 じゃあどこまで行けるのかと言うスピードルの言葉にやってみようということになって次々と挑戦者を打ち負かしました。 バーではこの日の記録が伝説になり、打ち破られることなし。 なのに二日酔いが一切なしという状況にもなりました。 「あ、おはよう。ティム」 いつもと変わらない笑顔。 その笑顔に苦しみや痛みは一切見えないのでスピードルは自分の顔が引き攣るのが解る。 「……二日酔い無し?」 「? うん」 「嘘だろ」 あれだけ飲んでその気配も無しなんて、どんな体してんだ!? 自分は思ったよりも飲みすぎて少し頭が痛いのに何もないなんて……何かムカツク。 「……お前、何か嫌だ」 「え、ええ!? 何で!!」 スピードルの突然の言葉にシンは驚きの顔をして彼に詰め寄る。 「…私、何かした?」 「…別に」 「……そっか。じゃあ、これ」 シンの悲しそうな顔に罪悪感が沸くが、そっと渡されたものに視線をやる。 「コーヒーと…果物?」 「辛そうだけど薬は嫌そうだから…二日酔いの頭痛にはカフェインがいいし、果糖はアルコールを分解してくれるから……」 流石、有能な心理分析官というべきか。 自分のことを見抜かれており……これじゃあ八つ当たりした自分はただの馬鹿だ。 「……さっきの嫌だっての取り消す」 「え?」 「ただの八つ当たりだ。…悪かったな」 気まずさから視線を逸らしながら謝罪し、そっと横目でシンを見やる。 するととても嬉しそうな笑みが飛び込んできて、スピードルは顔が熱くなるのを感じて慌てて視線を明後日の方向へ逸らした。 (Title:SBY) |