Mainひらり舞うサヨナラ
シンの捜査官最終日に大切な友に贈る刻印 (1998) 「ティム」 呼び止められたので振り向くと、いつもの笑み。 「…何だ」 「お疲れ様」 「…ああ」 事件が終わればいつもかけられる声。 それは…いつもと変わらない日常のようだ。 だが、 「…いつまでマイアミにいるんだ?」 「2、3日…かな。色んなもの処分して、とにかく一年くらい外を見てこようと思って」 「…そうか」 明日から彼はいない。 二年間は心理面を助けてくれて最後の一年は自分の隣で笑ったり苦しんだりして共に捜査してきた彼は今日で最後だ。 「――ティム」 少し憂鬱になりながら考え込んでいたら名前を呼ばれる。 思わず顔を上げると渡される箱。 「何だ?」 「…プレゼント」 「……お前から…オレに?」 普通逆だろ。 顔を顰めて睨みつけるような問いかけ。 だがそれに笑って「私があげたいんだ」と告げる。 開けていいかと許可を取ると、シンプルな箱を開ける。 そこには…腕時計が置かれている。 「…C.Fang Trigger? 聞いたことのないブランドだな」 「…うん。でも良ければいつもティムに付けていて欲しいんだ」 アクセサリーとかは邪魔でつけないでしょ。 あっさり言われた言葉にスピードルは観察するが、特に何もない至って普通のものに見える。 「何故、贈る?」 「…心配だから」 白い手が伸び、そっとスピードルの手を取る。 「ティムはCSIなのに銃の手入れなんて全くしてないくらいに仕事以外は無頓着な人間だ。……私が傍に居た時はティムを護れたけど、今後はどうなるか解らない」 銃の手入れを怠って危なかった場合は全部シンがフォローしてくれたことを思い出し、スピードルは思わず目を逸らす。 「私はね、ティム。危険な目にあうことも仕事だとしても…貴方に危険な目にあって欲しくないし死んで欲しくも無い」 黒い目が真っ直ぐにスピードルを射抜く。 「気休めかもしれない。だけど…それでも頑張って欲しい貴方のお守りにとして身につけていて」 お願いだと告げる声にスピードルは気まずげな顔をするが、何か答えを返さない限りその目が、笑みのない顔が向けられることを察して溜め息を一つ零すと何故か付けている腕時計を外して差し出す。 「…ティム?」 「やる」 素っ気無く言われてシンの掌に落とされる使われている時計。 シンはそれにきょとんとした表情を浮かべるが…やがて時計を大事そうに握り締めて笑う。 「ありがとう、ティム」 そのとても嬉しそうな笑みに、思わず熱くなる頬に慌てて横を向く。 その姿から放たれる喜怒哀楽は他者を惹きつけ震撼させてしまう破壊力は健在らしい。 「…手紙か電話くらいしろよ」 「――解った」 ティムが小声だが心配する声にシンはにっこりと笑って頷いた。 「メーガンが待ってる。行くぞ」 「うん。…ティム」 「何だ?」 視線が向く。 「死なないでね」 笑いながらも真剣な黒目がスピードルを見る。 それにスピードルは溜め息を一つ零すと、後頭部を軽く小突いた。 「お前もな」 てなわけでラスベガスに続いてまた腕時計。 よくよく考えたらCSIの人達ってアクセサリー付けないよなぁっと思って。 特にシンのは仕事中にも付けていて欲しいので腕時計しか思いつきませんでした。 少しデザインは違うけど、黒い刀と野紺菊のマーク。 また銘柄はきちんといれてます。 (Title:SBY) |