THORNY PATH


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偽りの果実に告ぐ

 シンが学生の時に生まれる黒紅。
(1990 or 1991)




 ガチャ。

 ハラリ。

「……」
 シンは扉を開けた途端に目に入った光景に一瞬呆気に取られる。

 ハラリ。

「…セキュリティは万全なんだけど…」
 何せ犯罪者から目を付けられているCSIにいるギル・グリッソムの家だ。
 それなりにセキュリティがしてあるに決まっている。
 はず、なのだが。
 シンは一つ溜め息を零すと、リビングのテーブルへ歩み寄りその上に置かれているものを手に取る。

 ハラリ。

 その拍子に落ちる欠片。
 シンはそれを空中で拾い上げると、その欠片を見る。
 黒紅の花びら。
 そしてもう片方には同じ色の薔薇が数本ある花束。
 そして花束に添えられているカードを手に取る。

『To my beloved W.Rose. Kuroshinju is good for you.』

「……良く、そんなことが吐ける」
 ぐしゃりとそのカードを力いっぱい握りつぶすその顔には綺麗な笑み。
 だが、いつも柔らかだが何を思っているか解らない黒い目に、純粋な怒りが宿っている。
 こんなもの、一片たりとも義兄の領域に置きたくなかった。
 彼にしては忌々しそうに薔薇の花束を無造作にゴミ箱に捨てる。
 本当は火で燃やしたいが、そんなことをすれば迷惑がかかる。
 シンは内側に渦巻く感情を自分自身の中で消化出来るようにゆっくりと息を吐いた。



(Title:SBY)