THORNY PATH


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黒鍵は白線を濡らす

ジェーソンの闇との半生。世代違いの同じ境遇者。
(〜1980年代)




 僅かな手がかりで人柄を深く『視る』ことが可能だったギデオンは若い頃から優秀な捜査官としてBAUで働いていました。
 だけどある事件で11世に出会い、その能力ゆえに11世を深く理解してしまい愛されることに。
 後、11世はギデオンにしか解らない証を残しながら事件を起こしていき、彼の大切な人を徐々に奪っていきます。
 その途中でシンの師と出会い、また、ギブスやジャンヌとも友人関係に。
 師が気に入ったのもあるんですが配慮により刻印がある懐中時計を貰います。
 それにより多少猛攻は緩んだものの、隙を縫って奪われていきます。
 古い友人に同僚、親類さえも奪われていく。
 どんなに神経が強くても知り合いの悲惨な光景を目にして徐々に衰弱していくんですが、事情を知られると11世によって何かされることを危惧して覆い隠します。
 ついには11世によって妻と娘も殺されてしまう。
 息子は幸いにも生きていましたが、息子がギデオンの所為だと嫌い、またギデオンも護るために息子と疎遠に。
 11世が逮捕されるまで、電話での連絡さえも一切無い状態となります。


***


 緋。
 ドアを開けた途端に広がる色に、体が動かない。
 震える唇。
 妻の、子の名を呼びながら家の中に入ると――間もなくして見つける塊。
「…ぅぁ」
 もう、擦れた声しか零れない。
 目から、自然と頬に流れ落ちる雫。
 だがその雫が首へと伝う前に生暖かいものが頬を伝う。
「っ!?」
 目を見開きそのまま身を捻りながらエルボーを繰り出す。
 だが、その攻撃は当たることなく逆に体の動きを封じ込められる。
「熱烈な歓迎だな。ジェイ」
 目に飛び込んでくる惚れ惚れする美貌。
 だが、今の自分には憎悪を沸き起こさせるものにしか映らない。
「お、まえ…オレの妻と娘まで…」
「当然じゃないか」
 振りほどこうと力を入れるが、超人的な身体能力を持つ男の前では何の糧にもなれない。
「お前の全てが私のものだ。この肉体も名も心も私だけがいればいい」
 逆に密着度が増すと唇の端を舐められる。
「それ以外は消すだけだ」
「ふざけるな!!」
 声音と共に憎悪に染まった目が射抜かれる。
 だが男はそれに目を細め、まるで肉食獣がご馳走を前に舌なめずりするかのように唇を舐める。
 途端に本能が警鐘を鳴らし、憎しみで占められた心から冷静さを取り戻す。
 だが、遅かった。
 視界が、回る。
 背中に湿った感触と、目の前に憎くて溜まらない男。
「何を…」
「解っているだろう?」
 男は、笑う。
 綺麗な――だがそれだけに恐怖を誘う笑みを。
「消すだけじゃ足らない。お前が私のものである証を…見せ付けてやらないとな」
 予想は確信へ。
 男の言葉と共に意思ある指が蠢くのを感じ、血の気が引く音が聞こえた気がした。


***


 シンに出会ったのは、大体10歳ごろ。
 殆ど巻き込まれる形でシューレン関係の事件に関わり、一緒に事件を解決することに。
 その時は深く関わることはありませんでした。
 ですが、シンを愛する余り後に12世になる子によりシンの大切な人を奪われることによって二人の距離は変わります。
 シンの心の状態を心配した師が同じ境遇であるギデオンに数ヶ月預けます。
 二人とも同じであることに二人は仲良くなり、シンは興味もあってギデオンよりプロファイリングを覚えていきます。


***


 大切な人を奪われた。
 シューレンという姓を持つ、呪われた血筋に。
 それが、共通点。
「お久しぶりです」
 漆黒の目は精彩を一切失ったのに、にこりと浮かぶ綺麗な笑顔。
 まだ十代前半だと言うのに、目の前の子はどんな感情でさえも笑顔で押し隠すことを覚えてしまっている。
 聞けば、幼い頃はそうしなければ生きて行くのが厄介だったという。
 腕を伸ばし、抱きしめる。
「いらっしゃい、シン」
 目をあわせて笑顔で招く。
 すると数秒後にシンの顔がふにゃりと歪むと手を伸ばしてギデオンの首へとまわす。
「…お世話に…なります。ジェーソンさん」
 悲しみが混じった声音を耳元で囁いた。



(Title:SBY)