THORNY PATH


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神様のクレヨン

実母の死から師死亡までシンの独白
(1981〜1990)




 母が死んだ。
 母は父親無く私を産んだから母も私も白い目で見られていたけど、私は母が好きだった。
 優しくて温かい母が好きで、辛いことがあっても母が居ればよかった。
 ……その母が死んだ。
 交通事故だった。


 ひっそりと行われた葬式。
 絶縁されていた私の母。
 その原因の源である私を祖父母に当たる人が引き取らなかったから親戚も引き取らなかった。
 押し付け合う醜い人の姿は予想していた光景であり僅かな絶望だけだ。
 そこを救い、引き取ってくれたのが師だった。




 師は、母の生存中から体も心も強く在りたくて剣を習っていた人だ。
 その人が私を後継者にすると言って拾い上げてくれた。
 それから私は日本の学校にはあまり通うことは無く、受け継ぐために世界を回りありとあらゆるものを学んだ。
 師直伝の剣。
 世界中のあらゆる体技。
 存在する武器の扱い方と対処方法。
 気配の読み方に見分け方。
 恐怖心を押さえ、殺気を操る方法。
 実際に内戦地へ行って戦い方を学ぶこともあった。
 師は私に『生き残る』ことを最優先に叩き込んだ。


 修行は大変だけど苦じゃなかった。
 師は不器用だけど優しかった。
 私が勉強することが好きだと知っていたから師は知っている限りこのことを私に教えてくれた。




 また、各地で素敵な出会いもあった。
 その中でもアメリカで出会ったグリッソムさんはすごく優しい人だった。
 グリッソムさんはあまり表に感情を表さない人で常に何かを観察し、心を見せない人だった。
 でも笑うと物凄く優しい人だ。
 グリッソムさんは仕事の合間に私に色んなことを教えてくれた。
 別れ際には教科書もくれた。
 だからグリッソムさんに昆虫が好きだって言っていたから、その後に手に入った珍しいものを送ったりした。


 グリッソムさんとの交流は続いた。
 あっちこっち私が行くから、私からの一方通行だけだ。
 でも電話に出ると優しい声をオレに向けてくれた。







 師が、亡くなった。 
 私の『内側』に入れていた人が、また、亡くなった。
 亡くなって…しまった。




 簡素な葬式を済ませた後、私は独りで生きていこうとした。
 亡くなる前に全てを叩き込まれ、後継者である証を受け継いだから。
 師のようになろうとした。
 だけど…
「お前は、私のようにはなるな」
 師はそう言った。
 人を殺す剣ではなく、人を活かす剣でいろと。
 人を活かすとは何だろうか?
 その言葉は…そしてどうすれば人を活かしていけるのか……今でも私は自分自身に語りかけている。



(Title:SBY)