THORNY PATH


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百色シュガースポット

in 相棒。Season5以降の設定です。




 滑る、足。
「きゃ!?」
「美和子!?」
 悲鳴をあげ傾く体に驚いて手を伸ばして掴もうとするが、それは空を切り――

 ト、ン

 だが別の手が彼女の背中を支える。
「大丈夫ですか?」
 かかる低くも無く高くもない声に夫婦である二人の視線がお礼を言おうと助けてくれた人に集まり…
『……』
 絶句する。
「? どうしました?」
 二人の視線に首をかしげた途端、黒い髪がさらりと揺れる。
「…あー…助けてくれて…ありがと、な」
「う、うん。助かったわ」
 夫婦は今気づいたように慌てて礼を口にすると、ふわりと穏やかに笑う姿。
「立てますか?」
「あ、ご、ごめんなさい」
 彼女は慌てて自分の足で体を支える。
 が、突然突き抜ける痛みに彼女の顔が歪む。
「美和子?」
「…足を挫いたのかもしれませんね」
 憂う表情を見せながら女性の足を見ると、彼女の夫を見上げ、
「申し訳ありませんがここらへんで休める場所を知りませんか?」
「あ、ああ。こっちだ」
 それに夫は慌てて頷くと、見るからに非力そうな親切な人間の手を煩わせないように妻を抱き上げた。





「応急処置はしましたが出来るだけ病院に行ってくださいね」
 にこりと浮かぶ笑顔に一瞬見とれながらも慌てて礼を口にする。
「…ありがとうございます」
「何かすいません。オレ…亀山って言います。こっちは妻の美和子」
 亀山と名乗った男性は申し訳なさそうに謝る。
 それを聞いて変わらない笑みを浮かべ続ける。
「これも何かの縁ですし放って置けませんので。私はシン…シン・グリッソムと言います」
 夫婦の目が数回ぱちくりと瞬く。
「…日本語上手っすね」
「16歳までは日本人でしたから。向こうで養子に入ったんです」
 僅かに見える複雑な環境に夫婦揃って気まずそうなものを浮かべる。
 だがそれを敏感に感じ取ったシンは気にしないでと口にする。
「過去も今も…私はすごく幸せですから」
 そう言って、とても綺麗な笑みを浮かべると目を細める。
「お二人はお優しいですね。流石、刑事さんとその奥さんですね」
「…そりゃ……あれ?」
 オレ、刑事って名乗ったっけ?
 亀山の問いかけにシンは出で立ちでと答える。
「普通の会社員でも自営業でも無いですし、軍人ほど鍛えられてませんけどどこか訓練されてますからそうじゃないかと思いまして」
「ほー」
「すっごい観察眼」
 シンからそう判断した理由を言われた夫婦は、揃って感嘆の声を漏らした。